宝石鑑定・鑑別機材 7 ☆紫外線ランプ

紫外線ランプとは

宝石鑑別やダイアモンドグレーディングのチェック項目で欠かせないのが紫外線検査です。作業には紫外線ランプという器具を使用します。

GIAの紫外線ランプは光源本体とキャビネットを分離して使用することができます。他のメーカーのものでは、一体型になったものも存在します。手軽なものではペン型のハンディタイプもあります。

国内メーカーの紫外線ランプ(長波&短波)

ペン型の紫外線ランプ(長波)

GIAの教育現場では、私が知る限りでは長いこと紫外線ランプの長波と短波が独立したランプと、暗箱(木箱)といわれていたキャビネットを組み合わせたものが使われていました。どうもこの暗箱はハンドメイドだったようで、量産は難しいこともあり以後形状が変化していきます。

紫外線ランプと暗箱

古い紫外線ランプは紫外線があたるフィルター部分が劣化して消耗が激しかったことを記憶しています。最近のものはあまり劣化せずに長期間利用できるようです。

その後ランプ形状が変わって小型化し、さらに長波と短波が一つのランプで観察できるようになりました。それにともなって、暗箱も小型化し、現在のような樹脂素材のものにかわりました。

個人的には持ち運びには不向きですが、木製の暗箱の方が大きくて肌ざわりもよく使いやすかったですね。

GIAの最新紫外線ランプ(長短波両用&キャビネットと保護眼鏡

紫外線とは

そもそも紫外線とは何なのか、簡単に整理しておきましょう。

我々が通常光として見ることのできる波長を可視光線といいます。光は電子的な磁性をもつエネルギー(電磁波)で波として進行していきます。波長の長い順に赤、橙、黄、緑、青、紫の順に並び、これをスペクトルと呼んでいます。通常光の波長を表すのにnm(ナノメートル)単位が使われます。1nm=100万分1mmです。

可視光線より波長が長いものが赤外線で、短いものが紫外線と呼ばれます。可視光線は700~400nmの範囲で、それより波長が短い紫外線は400~200nmになります。

鑑別検査では紫外線の長波と短波をそれぞれを検査します。長波(LW)は約400~315nmの範囲、短波は(SW)約280~200nmの範囲です(315~280nm間の長波と短波の波長は鑑別には使用しません)。波長が短いほどエネルギーは大きいため、特に短波を観察する際には注意が必要です。

ルミネッセンス(蛍光・燐光)

通常、紫外線は認識できませんが、ある種の石と相互作用することで、可視光線を発することがあります。これをルミネッセンスといいます。ルミネッセンスには蛍光と、燐光というものがあります。

蛍光とは紫外線あるいはX線の照射中に放出される可視光のことをいい、燐光とは紫外線あるいはX線の照射後にも持続して放出される可視光(光源が取り除かれた後にも蛍光が持続する)のことをいいます。

多くの宝石学用紫外線ランプは、長波365nm、短波254nm、4W~100Wに設定されているようです。ただし強い光源ほど強い蛍光が出るので観察には注意が必要です。

検査方法

検査の際には光源から石まで4~5インチ(10~13㎝)離し、暗い背景で検査するようにします。特に短波紫外線の観察の際には、専用の保護眼鏡などを使うことをおすすめします。直接目視すると目に損傷を与えますので、取り扱いには十分気をつけてください。

天然、合成の識別、張り合わせかどうか、処理石かどうかなども観察できます。
また鉄の高い含有率により、紫外線に対し多くの宝石が不活性となります。

蛍光反応は化学不純物、メトリクス(matrix)、インクルージョン、歪み、カラーゾーニングなどでも変化しますので、あくまで補助検査としておこなう必要があります。

紫外線検査の表記

◎強弱:inert(不活性)、weak(やっと視認できる)、moderate(明瞭に視認できる)、strong(明るい)
◎状態:不均一、斑状、ゾーニングがある場合は記載
◎色相:明度や彩度で表記(例)ライトブルー、チョーキーホワイト、ブラウニッシュなど

ダイアモンド原石(昼白色)

ダイアモンド原石(長波紫外線)

ダイアモンド原石(短波紫外線)

ダイアモンド原石に長波紫外線を照射したものを見ていただくと、ブルーやイエロー、グリーンなどの蛍光反応がよく分かると思います。

有名なダイアモンドにホープダイアモンドがありますが、短波でレッドの燐光を観察できるとても魅惑的な宝石といえます。ダイアモンドに多く観察されるブルーの蛍光も魅力的ですので、お手元の宝石をぜひ観察してみてください。

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